彫刻材

彫刻材(仏像彫刻)で最もよく使われている木が、木曾桧・楠です。楠は大きく何百年もすると写真のように大きな木になります。昔から神聖な域で育つ楠は神社などで大切にされています。 
大きくやさしく力強く伸びる木は本当に寛大なもので、根強く力強いのが伝わってきます。お母さんが子供を守るような風にも思えます。

木曽檜(高級・天然木)

木曾谷に面している所に生えていることから名付けられた木材です。 
年輪が細かく(年月が経っている)軟らかく強度があるのが特徴です。 耐久性・耐水性が高く、使うごとに香りが深まります。 中心部は淡黄で周辺部は黄白色、木部の柔らかい部分と硬い部分との差が小さいのが特徴です。 材はまっすぐでつやのある表面を出すことができ、彫刻材に適した木材です。 
色目は「白色」から「ピンク色」まで様々ですが、白いほうがより貴重とされており、 硬さは「柔らかい~普通」で彫りやすい木材です。 又、木曾桧によく似た木でサワラ・コウヤマキ・ネズコ・アスナロがあります。 この五つの木を総称して、木曾五木と言います。 
木曾桧にも天然木と人工林があり、 天然木の木曾桧を強度の良い耐久性の優れたものに育てるには、日頃からの山の手入れが不可欠です。 木曾桧は、土・水がきれいで空気や適度な陽が差し込む所で、立派な木に育ちます。 手入れの行き届かない山は栄養が少なく、立派な木は育ちません。 そうならない為にも、密林にせず空気や適度な陽を入れてあげることが大切なのです。木曽桧は 年月を重ねてくると上品な薄茶色になります。また、 自然の殺菌効果に優れおり、虫が付きにくいのが特徴です。

クスノキ(樟)とは、クスノキ科ニッケイ属の、常緑高木です。 
一般的にクスノキに使われる「楠」という字は本来中国の「タブノキ」を指す字であるため正確には「樟」と記述します。別名クス、ナンジャモンジャ。 色目は「茶白」で色ムラがあります。 硬さは「柔らかめ~普通」で全体に特異な芳香を持ち、「臭し(くすし)」がクスの語源です。材や根を水蒸気蒸留し、樟脳(しょうのう)を得ます。樟脳とは、クスノキから得られる無色透明の固体で、防虫剤や医薬品等に使用される、いわゆる“カンフル”のことです。 枝や葉にも樟脳の香りがあります。そのため、古くからクスノキは防虫剤、鎮痛剤として用いられ、その防虫効果から家具や仏像などにも広く使われてきました。 食用となるアボカドや、葉が線香の原料となるタブノキは近縁の種です。クスノキの葉は厚みがあり、葉をつける密度が非常に高いため、近年、交通騒音低減のために街路樹として活用されることも多くなっています。